はじめまして、タジマジアです。ハーブに惹かれて自分でも育てたり、自然療法についていろいろ学んだりしています。自然療法には植物を使うものがたくさんあります。世界には様々な薬効を認められた植物があり、アロマテラピーからホメオパシー療法に至るまで、その有効成分を生かす取り組みがされています。このブログでは、数多くの植物の中でも様々な用途に使われてきたカレンデュラを中心に、自分の体験も織り交ぜながらいろいろな話題をとりあげていきます。
1.カレンデュラについて
カレンデュラはポットマリ-ゴールド、またはマリーゴールドともいい、和名はトウキンセンカで、科名はキク科、学名はカレンデュラオフィキナリス(Calendula Officinalis)です。オフィキナリスは薬用の意味です。カレンヂュラ、カレンジュラ、カレンドラとする表記もありますが、ここでは、カレンデュラにします。カレンデュラオフィキナリスと分類されているものの中にも様々な種類があります。また園芸店で売られているマリーゴールドはフレンチマリーゴールドといい、学名は(Tagetes Patala)、カレンデュラ“冬知らず”は学名が(Calendula Arvensis)で、どちらも薬用には使われていません。
地中海原産で、一年生の植物です。最長70センチくらいまで育ちます。花の形は、一重や八重のものがあります。花は向日性があるため、夕方以降はぴったりと閉じるか、閉じ気味になります。シェイクスピアは「冬物語」の中で、“お日様とともに寝て、お日様とともに露の涙を光らせて起きる” というセリフを登場人物に語らせています。(私の観察では、夜、明かりのついた室内に入れても花は開きませんでした。朝になり外に出すと、花が開きだしました。太陽の光のみに反応するみたいです。)
花は輝くようなオレンジ色、または黄色で、強力なパワーのある光を放っているように見えます。この特性のため、ヒマワリがヨーロッパに伝わるまでは、「太陽の花」と呼ばれました。カレンデュラのイギリスでの呼び名マリーゴールドは、「マリアの黄金」という意味で、聖母マリアの祝日にいつも花が咲いていたことから名づけられたそうです。(聖母マリアの祝日は、カトリック、イギリス国教会合わせて25回あります)ポットマリーゴールドの名は,花弁がブイヨンに加えられたり、サラダに添えられたりしたため、ポット(壺、鍋)マリーゴールドと呼ばれたことからきています。12世紀のハーバリスト、メイサーは「花を見るだけで視力が良くなり、気分が明るくなる」と述べ、ルネサンスの時代には「心を強くする」といわれていました。なおカレンデュラはラテン語(kalendae:月の最初の日、1日)からきていて、毎月花をさかせることからこのように呼ばれるようになりました。一方、和名のトウキンセンカは、唐から渡ってきた金色の杯のような花という意味です。
光り輝く太陽のような強烈な花のイメージの一方で、香りはというと、薔薇のような甘く華やかな香りがするとかいうのは、まったくありません。花に鼻を押し付けて、「ああ、これってやっぱりキク科の花だったんだ」というのが感じられる程度のものです。強力な香しさというのは、まったくないです。(あくまでも、私の個人的な感想ですが) ただし、たくさん咲いているところに行けば、また違った印象があるかもしれません。
古代エジプトより長きにわたって、薬効が知られ利用されてきました。12世紀ドイツの修道女にして、様々な療法に通じていたヒルデガルト・フォン・ビンゲンは、「皮膚の炎症、消化不良に効く」と書き記しています。現代では化学構造の解明が進み、含まれる有効成分としてカロチノイド、フラボノイド、フィトステロール、サポニン、苦味質、粘液質、多糖質等が知られています。カロチノイドはオレンジ色の花の色素の成分でビタミンAのもとで、皮膚や粘液を保護、修復する働きがあります。傷を癒してくれる作用があります。そのため、カレンデュラから作ったクリームがその目的で広く使用されています。また苦味質は脂肪を分解して、腸で栄養吸収する時に働く胆汁汁の分泌を促進してくれます。抗菌作用もあり、体のあらゆる部位をふくなどして使用できます。ロシアでは大規模に栽培されて、「ロシア・ペニシリン」という名で呼ばれているそうです。とにかく、見た目のパワフルさとその効能が一致しているようなすごい植物なのです。古代から現代にいたるまで、ずっと変わることなく重用されてきた植物というのもうなずけます。
(用語解説)
カロチノイド:黄、橙、赤等の脂溶性色素で抗酸化作用を持つ
フラボノイド:芳香族化合物の総称
フィトステロール:植物ステロール。植物に含まれるステロイドアルコールの総称。(一方、コレステロールは、動物ステロールの代表)
サポニン:水中で持続性の泡を生じる植物成分の総称
苦味質(くみしつ):苦味を感じる一連の化合物
粘液質:種子や根に見られるゼリー状の物質
(用語の参考:メディカルハーブの事典 林真一郎 東京堂出版 2018年)
(シェイクスピアのセリフの引用)
「冬物語」ウイリアム・シェイクスピア 小田島雄志訳 白水Uブック 1986年
シェイクスピアの作品の中には様々なハーブが登場します。シェイクスピアは、当時の有名なハーバリスト、ジョン・ジェラードの家の近所に住んでいたそうです。(写真の本は、ハーブ研究家、熊井明子さんのリサーチをまとめたものです)誠文堂新光社
2.育て方
育て方はとても簡単です。地中海原産なので、日本の普通の気候でも十分育ちます。私の場合は、種を頂いたので、直接植木鉢にまいて育て、あっという間に花が咲いたので(3か月未満)、こんなに簡単なのかとびっくりしました。参考までに一般的なハーブの育て方から述べていきます。
(一般的なハーブの育て方)
1.培養用土を準備する。(市販でも、自分で作ってもいいです。)
2.小さめのビニールポットに土を入れて、2~3粒まく。(一度に幾つかまくと、種同士の競争を促し
て成長を促進するそうです。)
3.発芽して2~3枚の葉が出てきたら、間引く。
4.一株で育て、大きくなってきたら、さらに大きなビニールポットに植え替えて、本葉がもっと増えて
成長したら、プランターや地面に植え替える。
(カレンデュラの場合)
1.土質は選ばない。
2.発芽温度 15度~20度
3.種をまく時期 春3月~4月 秋9月~10月
4.植え替えて大きく育てる時期 秋まきのものだと翌年の3月~6月
(住んでいる地域によって気候条件が異なるので、種をまく時期などは、異なってくると思います)
NHKの趣味の園芸のサイトにより詳しい育て方が載っているので参考にしてください。
以上がハーブとカレンデュラのおすすめの育て方ですが、私の場合は、頂いた種(けっこう大きく虫みたいな形状)を自分で配合した土(普通の黒土に小さめの赤玉土が全体の4分の1くらいになるように混ぜ合わせた物)を植木鉢に入れて、種をそのまま播き、オーガニック農業用の肥料、液体肥料をあげて育てました。すると、すぐに芽が出て育ち、3か月くらいで花が咲きました。高さは、40センチ未満でした。家に育てる地面がなかったら、植木鉢やプランターでも育ちます。春先にプランターで育てられたカレンデュラを見たことがありましたが、高さは20センチ以上30センチ未満でした。育てる気候や土などの条件でいろいろ育ち方に違いが出てくるといわれていて、花の色、形状も異なってきます。
(私の育て方は正統的ではないので、きちんと育ててみたい方は、上記のサイトの育て方等を参考にするといいと思います。)
左の写真は、私が種をまいたら、あっという間に育ったカレンデュラです。時期は5月上旬です。すくすくと伸びて成長しました。高さは、40センチ未満くらいです。
(このページや他のページのカレンデュラの写真は、園芸店で買った苗から育てたものが大半です。また、近所で咲いていたものもあります。)
なお、種は普通の園芸店では売っていないことが多いので、種子専門の通販サイト等で買うといいと思います。ちなみに、私がおすすめの会社は、「野口の種」という会社で、固定種の野菜からハーブの種まで幅広く扱っています。
野口の種のホームページです。
カレンデュラのところには、簡単な育て方が記載されています。
もちろん、アマゾンとか楽天などの他のサイトでも、いろいろ扱っています。
そして、私が使用した肥料は、日本豊受自然農という会社の「発酵植物活性液アクティブプラント」、「牛糞堆肥」というものです。
発酵アクティブプラントは、液体肥料で、水で薄めて使うため、お得感があります。牛糞たい肥のほうは、ほとんど使い切ってしまいました。
また、有機農業のやり方の一つであるバイオダイナミック農業で使用する農業用のカレンダーも使っています。いつ種をまくか、収穫するか等、一年を通しておすすめの作業日が細かく記されています。始まりは1月で、翌年の4月までのデータが載っています。
毎年4月頃発行されます。大きな書店、農文協・農業書センターには、置いてあることがあります。もし、ない場合は、全国どこの書店、Web書店でもお取り寄せは常時可能です。
発行:ぽっこわぱ耕文舎 発売:イザラ書房
これらの3つが私にとっての家庭でやるプチ園芸の必需品です。
以上がカレンデュラの簡単すぎる育て方でした。皆様も是非トライして、花のパワーを楽しんでください。
北海道のカレンデュラ畑
大地の上だと伸び伸びと育ちますね。